糖尿病

糖尿病患者の教育入院ではどのような教育がなされるのか

通常の病気であれば入院が必要となるのは、症状が悪化してしまった場合、通院では出来ないような検査を行う場合の2つのケースがありますが、糖尿病の場合には第3のケースがあります。糖尿病では生活習慣を改善するために行う食事療法と運動療法がありますが、習慣となってしまっているものを改善するのは大変苦しいため、自力では難しい人も沢山います。そこでこのような糖尿病患者を入院させて、生活習慣を教育するための教育入院と呼ばれるものが必要になってきました。

糖尿病は初期の場合、特に感知できるほどの自覚症状が無いため、いくら医師に食事療法と運動療法を行うように言われても、自己のコントロールができず、重症化してしまうことが良くあります。教育入院はこのような人に対して、生活習慣の改善と、放っておいた場合にどうなるか、合併症にはどのようなものがあるかや今後どのように糖尿病に向き合っていく必要があるかなど糖尿病の入門講座と言えるような内容で行われるのが普通です。

教育入院はだいたい1週間から検査も含めて2週間程度で行われますが、予め教育期間を決めていない場合も多く、入院中に血糖値が下がるまでは、順次延びていく可能性もあります。一応血糖値が下がり、生活習慣が身について血糖値のコントロールができるようになったところで退院となります。今までの生活から考えるとかなり厳しいですが、この教育入院により、治療に真剣に取り組むようになります。場合によっては一時帰宅後、再度入院して状況を調べるという念の入ったところも有ります。

入院当初は糖尿病の食事である低カロリー食に耐えられずに間食してしまう人も多いのですが、血糖値の改善が見られないために、すぐに間食はばれます。しかし教育が進むにつれて、糖尿病の本当の怖さが理解されるようになり、このような隠れて何かを食べると言うようなことは減っていくため、徐々に治療の効果が見られ始めて血糖値のコントロールができるようになります。こうして血糖値が低い状態で維持できるようになれば教育入院は退院です。

糖尿病と診断されてもそれほど血糖値が高くない場合には、教育入院と言うことにはならない場合が多いですが、そういう人の中には今ひとつ実感がわかず生活習慣の改善を熱心に行うことが出来ず、食事療法や運動療法がうまくできないことが有ります。こういう場合には医師に相談して教育入院させてもらっても良いのではないでしょうか。糖尿病は完治することは無く一生付き合っていく病気ですので、一度厳しい治療の経験や、糖尿病についての知識を勉強しておくのも良いでしょう。

糖尿病3大合併症の1つ糖尿病性腎症の症状とは

糖尿病は糖尿病そのものよりも合併症に気をつける必要が有ります。合併症には様々なものがありますが、なかでも多くの人が発症し、症状も怖いものがあるのが3大合併症と言われるもので、糖尿病性腎症もその1つです。糖尿病性腎症は糖尿病の血管障害で腎臓の糸球体が硬くなってしまい機能するものが少なくなっていく病気です。日本の透析患者の約40%はこの糖尿病性腎症が原因でトップとなっています。特に高血圧が有る場合は注意が必要と言われています。

糖尿病性腎症の症状としては5期に分けられていて、まず第1期ではほとんど無症状ですが、糖尿病性腎症は糖尿病において非常に顕著に現れる合併症で糖尿病と診断された場合には既に第1期の腎症を発症していると考えられます。第2期には第1期後5年~15年で進行しますが、やはり自覚症状は有りませんが、この時期に高血圧を発症することがあり、これが更に腎症を悪化させることになります。

第3期の初期には蛋白尿が出るようになりますが、なお自覚症状は有りません。第3期の後期になると浮腫やうっ血性心不全が見られるようになります。第4期には浮腫の他、腎機能の低下によって尿毒症の症状である倦怠感や精神的不安定などが見られるようになり、第5期ではこの尿毒症の症状が進んで透析を行わなければ死亡にいたることになります。

糖尿病性腎症の検査としては尿検査のほか、腎臓の病理検査である腎臓生体針検査、腎臓の大きさなどを見る腎臓超音波検査が行われます。定期健康診断では尿検査が行われていますので最低限これだけは毎年受診しておきましょう。

治療としてはまず薬物治療が有ります。薬物治療の1つ目はやはり血糖値を下げるため血糖降下剤やインスリンが投与されます。浮腫に対してはループ利尿薬、糸球体が硬くなるのを防ぐためにはアンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシンII受容体拮抗薬、血圧を降下させるためには降圧剤が投与されます。この他、尿毒症や貧血に対する薬剤が使われることも有ります。進行して尿毒症が進んでしまうと現実的に有効な治療は人工透析しか方法が有りません。

人工透析に至った場合には5年後の生存率は50%程度といわれ、非常に厳しい状態です。この状態から抜け出すためには、誰でも簡単にというわけにはいきませんが、腎臓移植が有ります。ただし日本では提供数が少ないため現実的では有りません。こういう状況に至る前に、極初期の段階で糖尿病を発見し、できれば糖尿病性腎症の発症を防ぎ、発症してしまったとしても早期に発見して進行を遅らせることが重要になります。

糖尿病3大合併症の1つ糖尿病性神経障害の症状とは
糖尿病3大合併症の1つ糖尿病性網膜症の症状とは

骨粗鬆症は糖尿病が原因になっている場合があります

骨粗鬆症と言えばダイエットのやりすぎで骨がスカスカになって脆くなった人というイメージが強いですが、最近になって糖尿病も骨粗鬆症を起こす要因になっていることが分かってきました。しかも骨がスカスカになるわけでもなく、骨密度はそのままで骨は折れ易くなると言う従来の感覚から言うと大変おかしな状態で発症すると言うのです。糖尿病は様々な合併症を併発していきますが、骨であっても逃れることはできないと言うことで改めてその怖さを感じます。

糖尿病患者が骨折する割合は、通常の人に比べて1.38倍になっているという調査が有ります。しかし、骨を調べてみると糖尿病の人は肥満の場合が多く、普通よりも太く、密度も高い傾向にあることが分かり、高密度であるにもかかわらず脆いということが分かりました。これは何を意味しているかと言うと、骨の強度は骨密度だけに依存しているわけではないということです。では普通の人の骨と糖尿病の人の骨では密度以外の何が違うのでしょうか。

骨の中はある程度の柔軟性を持つコラーゲンの繊維による立体構造がびっしり入っています。以前はこの密度が低い場合に骨粗鬆症となったわけです。ここに糖尿病にしたラットによる研究報告が有ります。報告によるとこのラットの場合、コラーゲン繊維の密度は異常では有りませんが、コラーゲン自体が硬く柔軟性が無いことが分かりました。このため密度ばかり高く、外圧に対しては非常に弱い骨が形成されてしまっています。したがって一定以上の力をかけるとポキッと折れてしまうことになります。

この原因は高血糖のため血中にある糖分が骨の中に進入し、コラーゲンと結合する事によって、コラーゲンを硬く変化させるというメカニズムが働くためと言われています。したがって高血糖を放置していると骨折し易い体となり、重要な骨を骨折した場合、一生障害を負うことにもなりかねません。そのためにも早期に発見して治療を行って、血糖値を改善して行くことが大変重要になります。

このように骨粗鬆症は糖尿病の重大な合併症といえますが、最近の研究報告によると骨か歯のみでできるある蛋白質が作れないマウスは何故か糖尿病を発症するということが分かりました。ということは骨に異常が出ると糖尿病を発症する、つまり糖尿病のほうが合併症であるということになります。このあたりはまだ分からないことが多く今後の研究が待たれる所ですが、実は骨の異常も糖尿病と同等の怖さが潜んでいる可能性を示唆するものです。