糖尿病

透析が必要になったときの糖尿病患者の余命

糖尿病はそのものはそれほど怖い病気では有りませんが、これに合併症が加わると最強と言っても良いほど怖い病気になります。特に3大合併症と言われるものは、重大な症状を招き、放っておくと命に関わることも珍しく有りません。この3大合併症のうち糖尿性腎症は腎臓機能を阻害し進行すると人工透析が必要になります。糖尿病と人工透析は一見関係が無いように見えますが、実は人工透析患者の43%はこの糖尿病性腎症が原因となっており、透析原因の第1位になっています。

透析と言うのは腎機能が失われたために行う治療で、体には極めて大きな負担がかかります。人工透析の身体的負担がどれほどのものか行ったことの無い人にはわかりませんが、実際の患者の話では1回あたり4~5時間で週に3回の人工透析に比べたら、糖尿病で行われる食事療法の苦しみなど無いに等しいそうです。このため残念ながらそう長く続けられるものではなく、5年後の生存率は約50%と低く、余命は透析開始から5年から10年と言われ、大変厳しい数字になっています。

したがって、命を繋ぐためには人工透析に進まないようにすることが重要です。糖尿病を発症してしまったら、自覚症状が無いからといって放置する事無く、医師の指示に従って治療を続けることが重要です。早期に発見できれば食事療法と運動療法で十分血糖値のコントロールが出来、合併症の発症あるいは進行させることは防げるはずです。ちょっとした油断や自分勝手の判断によって、この状態を崩してしまうと、合併症の発症を許すことになってしまいます。

もし人工透析を受けなければならなくなった場合には、余命は余命で認識しなければいけませんが、希望は持ち続けることが必要です。何事にも例外はあるもので、余命10年と言われても、20年生きられる人も存在します。ですから、人工透析を続けることはつらいかもしれませんが、あきらめてしまう必要は有りません。1%でも可能性があるのであれば生き続けることを考えて、治療を続けてください。

人工透析が必要となった場合、残る治療としては移植が考えられます。しかし日本では臓器提供の数が少なすぎて待っている患者も多く、提供される可能性は極めて小さいと言わざるを得ません。海外に望みを持つ人もいますが、その場合は莫大な費用を準備する必要が有ります。今後期待されるものとしてはiPS細胞を使って自身の細胞から新しい腎臓を作って移植するなどが考えられますが、実用化までには非常に長期間を要すると思われます。

食事療法では1日のカロリー量と共に食事ごとの配分も重要です

糖尿病を発症するとまず行う治療は食事療法と運動療法ですが、運動はともかく食事は作るという作業が発生しますので大変厄介な治療と言えるでしょう。食事療法の場合、医師からはあなたは1日xxカロリーというように摂取してよいカロリーが示されますので、これに基づいて、1日三食分のメニューを決めなければなりません。この時注意が必要なのは各メニューの栄養バランスと考えがちですが、そもそもそれ以前に各食へのカロリー量の分配が重要です。

たとえば1点豪華主義では有りませんが、夕食だけ超豪華にして、そのほかは極少量にしたりすると夕食後は血糖値が急激に上がってしまい、トータルのカロリー量は守ったとしても、糖尿病の食事療法とは言えません。要するに各食間のカロリーの配分もバランス良く行わなければならないと言うことです。基本的には3等分すれば良いのですが、詳細には、医師から食事療法を受ける場合に渡される食事指示票に基づいて行う必要が有ります。

食事指示票というのは1日の総摂取カロリーのほか、患者の生活習慣や好みなどを考慮して、各食事への配分方法、食品の選び方などが記載されています。食事指示票には各食事に対する食品交換表の分類ごとの単位が示されていますので患者や家族はこの指示に従って食品交換表を使って各食事のバランスの取れたメニューを決めていく事になります。どうしても間食を入れたい人に対しては、この分も加味した食事指示票が作られることになります。

ここまで決めてくれれば大丈夫と言う人は良いのですが、料理のレパートリーが狭い人の場合は、食品交換表にある材料をどのように使ったらよいかと言うことが分かりません。したがって、ここまで示されたとしても、なかなかそれが実際の料理に繋がるかと言うと残念ながらそうではありません。最初の頃は試行錯誤を繰り返しながら順次メニューを増やしていくしか無いでしょう。病院ではこういうことにも相談に乗ってくれる場合も有りますので、必要であれば相談してみてください。

どうも自分では難しいと言う人には、最近ではインターネット上でメニューを紹介しているサイトも増えてきていますので探して様々なメニューに挑戦してみてください。このほか、糖尿病食の宅配を利用する方法も有ります。もちろん食事指示票にあるように各食に配分された単位数のものを選ぶ必要がありますが、どうしても自分で作るのが無理な人は積極的に利用してみましょう。食事療法はつらいですが、配分さえ間違わずに、バランスの取れた食事を続ければ、多くの患者で効果が上がることを忘れてはいけません。

糖尿病の主な検査にはどのようなものが有るのか

糖尿病の発症や症状の進み具合を判定するために用いる検査は、血糖値に関連するもの、インスリンに関連するもの、脂質代謝に関連するもの、画像診断などがあります。まず血糖値関連の検査をおこなって糖尿病を発症しているか否かを判定し、他の検査を使って各々の患者の病状や合併症の詳細を診ることになります。定期健康診断などでは血液検査しか行いませんが、病院では必要に応じて様々な検査を行うことになります。

血糖値関連の検査としては、空腹時血糖値検査や随時血糖値検査などの血糖値検査、過去1ヶ月~2ヶ月の血糖値の状態を診るヘモグロビンA1c(HbA1c)検査があります。糖尿病の診断は通常この2つの検査の値から検査基準に則って行われます。また過去2週間程度の血糖値の状態を診るグリコアルブミン検査と言うものも有りますが、この検査はまだ有効性が確認されていません。

インスリン関連の検査としては、まずインスリンの分泌能力を表すインスリン分泌指数を計るために行われる75g経口ブドウ糖負荷試験、血中Cペプチド検査、尿中Cペプチド検査、グルカゴン負荷試験などがあります。次にインスリンの効きやすさを示すインスリン抵抗性を計る検査としては、やはり75g経口ブドウ糖負荷試験、血中インスリン検査、HOMA-R検査、グルコースクランプ法検査があります。ただし75g経口ブドウ糖負荷試験は高血糖の人にさらに糖を摂取させることになるため最近では行われなくなりました。

脂質代謝関連の検査としては、ケトン体検査があります。インスリン不足のときにブドウ糖が利用できなくなり脂肪をエネルギーに利用とするときに生成されるアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンをケトン体と言い、この量を尿検査や血液検査で測定します。画像診断は合併症の診断に良く用いられます。例えば糖尿病性網膜症を診断するために行われるのが眼底検査で、また糖尿病性腎症のための腎臓の変形を診断するために行われるのが超音波検査です。

このほかにも、様々な検査が行われていますが、有効に利用するためには定期的に受診することが重要です。毎年定期健康診断を受けて血液検査を行っていれば、たとえ糖尿病を発症してしまったとしても、早期に発見することができますので、早いうちに治療を行い生活習慣などを改善していけば合併症などを発症してしまう前に血糖値のコントロールができるようになります。糖尿病は放っておくと大変怖い病気です。気を抜く事無く、常に注意しておく必要があります。