糖尿病

糖尿病は完治が見込めないというのは本当なのか

糖尿病は治り難いことで有名ですが、インターネット上や体験談などをまとめた本には完治したような話が沢山記載されています。このため意外に多くの患者が糖尿病は治り難いかもしれないけれども、治療を続ける事によって必ず完治すると考えています。しかし糖尿病発症のメカニズムから考えると、完治ということはありません。一度発症してしまったら、症状が進行しないように、血糖値を上手にコントロールして一生うまく糖尿病と付き合って行くしかありません。

糖尿病発症のメカニズムは、まず摂取カロリーが消費カロリーを上回ることから始まります。余った摂取カロリーは脂肪として細胞内に溜められることになります。ときどき大量に消費してこの状態を解消すればよいのですが、基礎代謝が低下してくるとどうしても溜まってくる分のほうが多くなっていきます。こうして脂肪はどんどん溜まって行きます、しばらくすると外見は肥満の状態になります。この肥満になると血管内では困ったことが発生し始めます。

血管内ではインスリンがブドウ糖を細胞内に吸収されるような働きをしてブドウ糖の濃度を有る範囲内に収めています。ところが肥満で脂肪細胞が出来てくると、こうしたインスリンの働きを抑える指令を出してインスリンが働かずブドウ糖の濃度が濃くなっていきます。これが最初の糖尿病の兆候です。この状態が続くとブドウ糖が処理されていないという連絡が膵臓に伝達され、膵臓のランベルハンス島にあるβ細胞はインスリンの量産を始めます。

有る程度まではβ細胞は働き続けますが、そのうちに疲弊してしまい、働きが鈍くなってきます。しかしブドウ糖はいっこうに減りませんからさらに量産するように支持が続き、ついにはβ細胞は死んでいきます。この状態が糖尿病といわれる状態です。このまま放っておくと次々にβ細胞が死んでしまい、ついには自前でインスリンが作れなくなってしまいます。ここまでいくと既に合併症も発症して透析なども行わなければいけなくなっているでしょう。

では治療としては死んだβ細胞を再生させればよいということになりますが、将来再生医療が発達でもしない限り、死んだβ細胞は元には戻りません。こここそが糖尿病が完治しない理由です。失ってしまったβ細胞分はインスリンの生成能力は戻りません。したがってその分を食事療法や運動療法あるいは薬物療法で補う必要が有ります。ですからもし完治したという記事を目にしたら、それはβ細胞が疲弊した状態だったものが回復したという例か、あるいは眉唾です。

境界型糖尿病のうちに発見すれば完治が見込めます

乳酸菌は糖尿病予防・改善に有効か

糖尿病はインスリンが働かなくなり、やがては減少して血中のブドウ糖を細胞に取り込むことが出来なくなって濃度が上昇してしまった状態を言います。これに対して乳酸菌と言うのは腸内で働き悪玉菌を攻撃することで腸内の状態を整える効果が有ります。しかし血中のブドウ糖濃度と腸内細菌の動向の因果関係は証明されていません。したがって現時点では乳酸菌が糖尿病の予防になったり、血糖値を改善したりすることは無いといって良いでしょう。

しかし乳酸菌が糖尿病に良い、血糖値が下がった、果ては膵臓のβ細胞が増えたと言うような報告が、インターネットを探せばゴロゴロ出てくるのも事実です。多くは眉唾なのでしょうが中には本当かもと思わせるような記事も見受けられます。実際その人に合った乳酸菌を摂取していれば健康に悪いわけは無いので適量を摂る事は体全体を見れば良い方に作用することは間違い有りません。食べるなと言っているのではないことをご理解ください。

糖尿病に限定すると、効果についてはどうかなと思いますが、体の調子を整えると言うことであれば、医師の了解の下、乳酸菌を摂っても良いでしょう。しかもこういう場合、健康についての意識が高まりますので、その点でも良い効果があるといえるでしょう。ただし氾濫している記事の記述に流され勝手に解釈して、薬よりも効果が上がるのはなどと思い込んで、食事療法を歪めてまで摂る事は逆効果になってしまいますので絶対に止めましょう。

最近は乳酸菌と言えばヨーグルトを思い浮かべますし、実際様々なヨーグルトが販売されていますが、もし体の調子を整える目的で摂取するとして、本当にヨーグルトが良いのでしょうか。実は日本人には合わないと言う人もいて、漬物や味噌などのほうが腸内を整えるのではないかと考えている人もいます。実際にどうかはいろいろ試してみて実感として良いものを選ぶようにしましょう。誰かがイチオシで勧めたとしても、腸内環境は一人一人違いますので、必ずしも合っているとは限りません。

乳酸菌は悪い菌ではありませんので、使い方によっては様々な病気に対して効果を発揮します。しかし糖尿病については過剰な期待はしてはいけません。切り離して考えてください。いろいろな記事を信じるのは個人の勝手ですが、治療に対しては、必ず医師の指示に従うことを優先させてください。もしどうしても乳酸菌で糖尿病を治したいと言うのであれば、そういう医師を探して、病院を移るしか有りません。

糖尿病に多い脳血管の小梗塞

糖尿病では高血圧や血流にブドウ糖が増加する事によって血管壁が痛みコレステロールが溜まって動脈硬化を発症します。これによって虚血性心疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などを発症します。しかしこれ等のように大事になるものばかりではなく、細い血管が詰まる小梗塞(ラクナ梗塞)が頻繁に起こるようになります。この小梗塞は心筋梗塞や脳梗塞などのように命に関わるようなことは有りません。症状も出たり出なかったり様々なものが有ります。

症状としては痺れなどの感覚障害ですが、症状が出ない場合も多く無症候性脳梗塞とか隠れ脳梗塞等と呼ばれ、一見健康に見える人が実は隠れ脳梗塞であったりすることがあります。しかしこの小梗塞がたびたび発症しているとそのうち大きな脳梗塞を起こしてしまったり、脳内のいたるところで発症し徐々に様々な症状が見えてくるような多発性脳梗塞と呼ばれるようなものになることもあります。ですから少なくとも糖尿病と診断されている人は症状がなくても安心は出来ません。

小梗塞はその名前に”小”が付くためか深刻に考えない人がいますが、発症する場所によっては広範囲に麻痺が出たり、舌がもつれて会話に支障が出てくることもある、立派な脳梗塞であることを忘れてはいけません。すこしでも気になる感覚障害などがあれば、すぐに病院で診察・検査を受けなければなりません。早期発見で大きな梗塞に繋がらないようにすぐに治療してもらうことが必要です。そのためには小さな感覚障害でも感知出来るようにいつも自分に注意を向けておく必要が有ります。

小梗塞を発見するための検査では、脳外科などに行ってMRIを撮ってもらうことが必要です。検査としては大掛かりでお金もかかるため、受けないと言う人もいるのですが、ゆくゆく大きな脳梗塞に繋がることを考えた場合、なにか兆候があるのであれば多少の負担には目をつぶって、受けておくことを勧めます。MRIで撮影すると脳内の血管の状態が見えるようになるため、どこかに小梗塞を起こしていればすぐに分かります。以前には考えられないハイテクマシンですね。

しかし、このような状況に追い込まれる前に、糖尿病の初期段階で発見することがもちろん一番良いことに間違い有りません。そのためには少なくとも年に1回の定期健康診断を受診して血液検査を受けることです。MRIよりずっと安上がりですし、他の検査も一緒に出来るので、大変お勧めです。しかしそういうことが分かっていながら、どういうわけか自分だけは大丈夫と考える人がどうしても居て、そういう人の中から多くの人が毎年糖尿病を発症しています。