糖尿病

糖尿病の鍵を握るインスリンとβ細胞

糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が通常の人に比べて異常に高い値を示す病気ですが、なせブドウ糖の濃度が上がってしまったのでしょうか。ブドウ糖は体中にエネルギーを供給するものですが、血中に多すぎても問題が有るため、通常であれば血液中の血糖値は血中のホルモンであるインスリンの働きでブドウ糖が細胞内に吸収されることで一定の範囲内に収まっている事になります。しかしこのインスリンに異常が発生するとブドウ糖が血中に残って血糖値が上昇することになります。

ではインスリンの異常とは何でしょうか、考えられることは2つです、先ず1つ目はインスリンの働きが悪くなること、2つ目はインスリンの数が減ってしまうことです。2つ目の数が減ったらブドウ糖の処理が間に合わなくなると言う理屈は分かりますが、1つ目の数が揃っていても働かなくなると言うのはどういうことで、何がその引き金を引くことになるのでしょうか。

実は働かなくなる主な原因は肥満です。肥満の場合、必要量以上の脂肪が細胞に送り込まれ、これが脂肪細胞として膨張してくるとインスリンの働きを促すアディポネクチンという物質が出せなくり、さらにインスリンの働きを抑えるTNA-αや遊離脂肪酸を出すようになってしまうため、インスリンを働かせることが出来なくなります。これをインスリン抵抗性と言い、肥満の人で2型糖尿病を発症した場合、十中八九はこのインスリン抵抗性が原因になっていると言われています。

では次にインスリン自体の数が減ってしまうと言うのはどういうことなのでしょうか。インスリンは膵臓のランゲルハンス島というところにあるβ細胞で作られています。血中にブドウ糖が多くなってくるとβ細胞が活発に働いてインスリンを作ることになりますが、人間と同じでβ細胞も働きすぎると疲れてしまい、インスリンを作れる量が減ってきます。これに気付かず更に暴飲暴食を続けてβ細胞を使い続けると、過労死では有りませんがβ細胞は死んでしまいます。

1型糖尿病はこのβ細胞を自己免疫機能などで壊していきますが、2型糖尿病では生活習慣で壊していくことになります。β細胞は1度死んでしまったものは元に戻すことは出来ません。数は減っていくことはあっても増やすことは出来ないのです。このβ細胞が疲弊した時点が境界型糖尿病、死滅が始まってしまったものが糖尿病とされています。このため境界型糖尿病の段階で治療すれば完治が見込めますが、糖尿病になってしまったものは完治は見込めません。

このように糖尿病の発症にはインスリンの働きが深く関与し、その発症はインスリンとそれを分泌する膵臓内のβ細胞の働きが鍵を握っていると言うことが良く分かります。これが分かったら、これからは暴飲暴食はせずにβ細胞を労わってあげましょう。

糖尿病の基本治療である食事療法とは

糖尿病治療で最も基本となるのは食事療法と運動療法ですが、特に食事療法は、メニューを考えレシピを作って料理しなければならないため、患者本人にとっても患者の家族にとっても、大変負担の大きい治療になっています。糖尿病を発症していない人には分かりませんが理想的なダイエット食とでも表現すれば良いでしょうか。それまで暴飲暴食を続けてきた人にとっては大変厳しい食生活になり、なかなか続かずに進行させてしまう場合も少なく有りません。

以前は糖尿病患者の食事を作るには、栄養の偏りの無いように食材を選び、各食材のカロリーを調べて作っていましたが、これでは患者の負担が大きすぎるため、現在では単位と言う概念が採用されています。1単位=80Kcalとして、患者には一日○○単位の食事をするようにと言う形で指示されます。これだと単にカロリーが単位になっただけですが、これに加えて日本糖尿病学界が発行している食品交換表と言うものを用意します。これには食品を6つの分類に分け、食品の単位数が記載されています。

この食品交換表の各分類から食品を選ぶ事によって栄養の偏りが無くなり、合計単位数によってカロリーの管理も行えます。食事療法では事前にさまざまな検査を行って、患者の状態を見極め、それに基づいて一日分の摂取カロリーが決められます。これを医師が各食事ごとに食品交換表の分類に沿って何単位づつ摂るかを決め、それを記載した食事指示票と言うものが渡されますので、患者はそれに基づいて食事のメニューを決めることになります。

これでカロリー計算はしやすくなりましたが、それでもメニューを決めてレシピを作るのは容易では有りません。そこで多くのレシピを記載した本や、紹介サイトが多数有ります。馴れないうちはこういうものを参考にするのが良いでしょう。またこれらのレシピの中の食材を食品交換表の同じ分類にある別の食材に交換して、自分の好きなようにアレンジしていっても良いでしょう。もしどうしても作れないと言う人は最近では糖尿病食の宅配サービスも有りますので利用してみてください。

従来糖尿病の食事療法は、このようなエネルギーを削減することに主眼が置かれていましたが、最近ではエネルギーではなくて、もっと糖質に注目するべきだと言われるようになって、極端な話、炭水化物を摂らないようなメニューにして、あとは普通の食事でよいのではないかと言う研究者もいます。このため最近の病院での食事療法の指導では、エネルギー削減と共に糖質の削減についても指導されるようになってきています。

糖尿病の基本治療である運動療法とは
血糖降下剤を使った糖尿病の薬物療法
インスリン注射を使った糖尿病の薬物療法

糖尿病研究の最前線である学会にはどのようなものが有るか

日本には様々な学会がありますが、最近は学問の進歩と共に分野が細分化されてそれぞれに学会が誕生していて、医学の分野も例外ではなく日本医学会だけだったものが、病気ごとに専門の学会が誕生し、それが更に分野毎の専門学会が誕生して糖尿病だけでも多くの学会が誕生しています。素人目に見るとそこまで細分化する必要があるのかと思えなくも無いのですが、それぞれ切磋琢磨して研究が進み新しい治療方法が開発されてゆくのであれば細分化の価値も出て来るように思えます。

糖尿病に関連すると思われる学会としては日本糖尿病協会、日本糖尿病眼学会、日本糖尿病・妊娠学会、日本病態栄養学会、日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本内分泌学会、日本内科学会、日本臨床分子医学会、日本小児科学会、日本小児内分泌学会、日本糖尿病・肥満動物学会、日本成人病(生活習慣病)学会、日本創傷外科学会、日本下肢救済・足病学会、日本体質医学会などがあります。名前で何の学会か見当がつくものもあり、良く分からないものもありますね。

糖尿病研究の中心になっているのは言うまでもなく日本糖尿病学会で、診断基準の策定糖尿病専門医の認定、患者や一般への糖尿病の紹介や食事療法を行うための書籍の発行などを行っています。特に糖尿病は病院での治療のほかに家庭での食事療法や運動療法などが有りますから、日本糖尿病学会は一般人には馴染みが無いように感じますが、実は多くの情報を直接・間接に流してくれる頼りになる存在なのです。一般向け書籍も紹介されていますので一度ホームページを見てみてください。

このほかの学会は糖尿病の合併症に関係するものが多くなっています。例えば日本糖尿病眼学会は糖尿病性網膜症などの眼についての合併症から糖尿病の研究を行う学会として発足しましたし、日本腎臓学会では学会としては糖尿病だけでは有りませんが大きな研究分野として糖尿病性腎症を挙げています。さらに日本肥満学会では合併症というのでは有りませんが、肥満の研究分野として肥満が糖尿病発症にどのように関与しているかなどを挙げています。

このように様々な学会が、先端分野の研究を行っていますが、われわれは門外漢ではありますが、その一端を知りたい場合もあります。とくに糖尿病患者としては最新の情報は絶対に欲しいはずです。これ等の学会ではそれぞれに考え方もあって完全にオープンというわけでは有りませんが、情報を公開しているところも沢山有ります。現在ではインターネットというツールがあって、このような情報に容易に接することが出来ますので、利用してみてはいかがでしょう。