糖尿病

糖尿病はどのように確定診断が下されるのか

食糧事情が良いせいか糖尿病は今や国民病と言われるほど増えています。だいたいの傾向としてはメタボ体型といわれる人に多いといえますが、中にはどう見ても痩せている人も糖尿病と診断される人がいます。どうもイメージ先行で糖尿病と言うのは漠然と血糖値が高くなった状態だという程度の知識はあっても、実際に糖尿病と診断される確定診断はどのように行われるものかと言うことを知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。

日本における糖尿病の診断基準は2010年に日本糖尿病学会が施行したものが基本になっています。従来糖尿病は血糖値の値を基にして診断されていましたが、これに加える形でヘモグロビンA1c(HbA1c)の基準も示されています。この基準は血糖値に依存するヘモグロビンA1cのヘモグロビンに対する割合で表されます。これは過去1ヶ月~2ヶ月の血糖値の指標として用いることができます。健康診断などでは血液検査を行うとこの血糖値とヘモグロミンA1cの値が出されますので見てみてください。

血糖値の基準ですが、血糖値にもいろいろとあります。1つ目が空腹時血糖と呼ばれるもので9時間以上絶食したときの血糖値を表します。もう1つは随時血糖値と呼ばれるもので、食事との関連を考慮せず普通は食後xx時間と付記されます。基準値は空腹時血糖の場合126mg/dl以上、随時血糖値の場合200mg/dl以上となっています。たとえば定期健康診断の場合空腹時に行われるのが普通ですので空腹時血糖で126mg/dl以上の場合に再検査となります。

次にヘモグロビンA1cの基準としては、困ったことに日本糖尿病学会が標準化したJDSと米国が標準化し国際標準になっているNGSPの2つがあります。臨床検査ではNGSPが使われることになりましたが、特定健診(いわゆるメタボ検診)ではJDSが使われることになっていて、基準値はNGSPの場合で6.5%以上、JDSの場合で6.1%以上となり食い違いが生じています。この場合は再度NGSPに標準化しなおして統一してはどうかと考えます。

糖尿病は先ず1回目で血糖値とモグロビンA1cの両方が基準値以上となった場合、および血糖値が基準値を上回り、かつ口の渇きや多尿などの糖尿病に見られる症状がある場合と1回目で血糖値が基準を上回っていた場合で2回目に糖尿病とヘモグロビンA1cの少なくとも一方が基準値を上回った場合、あるいは1回目でヘモグロビンA1cが基準値を上回った場合で、2回目に血糖値が基準値を上回った場合に診断されます。

これらの検査で糖尿病と診断されなかった場合でも、血糖値あるいはヘモグロビンA1cの基準値が上回っていた場合には糖尿病疑いとされ要再検査となります。

糖尿病診断に用いられる各種検査

糖尿病に関連した検査は、血糖値関連、インスリン関連、脂質代謝関連、画像診断など多数あります。糖尿病の診断だけであれば血糖値関連の検査で可能ですが、各々の病状や合併症について詳細に診て的確な治療を行うためには様々な検査が必要になります。

血糖値を測定する検査としては、空腹時血糖値検査や随時血糖値検査などの血糖値検査、過去1ヶ月~2ヶ月の血糖値の状態を診るヘモグロビンA1c(HbA1c)検査があります。糖尿病の診断は通常この2つの検査の値から行われます。従来は血液検査としては空腹時が多かったのですが、最近では隠れ糖尿病と言われるものが注目されてきており、この場合空腹時血糖値検査では分からないため、随時血糖値検査として食後の血糖値の変化などを診る場合も有ります。

インスリン関連の検査としては、まずインスリンの分泌能力を表すインスリン分泌指数を計る75g経口ブドウ糖負荷試験、血中Cペプチド検査、尿中Cペプチド検査、グルカゴン負荷試験などがあります。次にインスリンの効きやすさを示すインスリン抵抗性を計る検査としては、やはり75g経口ブドウ糖負荷試験、血中インスリン検査、HOMA-R 検査、グルコースクランプ法検査があります。ただし75g経口ブドウ糖負荷試験は血糖値の高い人にさらに負荷をかけることになるため最近では行われなくなっています。

脂質代謝関連の検査としてはケトン体検査があります。インスリン不足で、ブドウ糖が利用できなくなった時の、脂肪をエネルギーに利用とする場合に生成されるアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンをケトン体と言い、この量を尿検査や血液検査で測定します。1型糖尿病の場合この検査を行うことによりインスリンの不足の有無がわかりインスリン注射の要不要を判断できます。

画像診断は主に合併症の診断に用いられ、たとえば糖尿病性網膜症を診断するために行われるのが眼底検査で、糖尿病発症後20年で1型で100%、2型で60%が糖尿病性網膜症を発症するため、定期的に眼底検査を行う必要があります。また糖尿病性腎症の診断には腎臓の変形を診断するための超音波検査が行われます。

このほかにも、様々な検査が行われて、新しい検査の導入も進んでいます。検査を有効に利用するためには定期的に受診して変化を記録していくことが重要です。毎年定期健康診断を受けて血液検査を行っていれば、たとえ糖尿病を発症してしまったとしても、早期に発見することができますので、早いうちに治療を行えば合併症などを発症してしまう前に血糖値のコントロールができるようになります。健康診断を受けたことが無いという人は今年からでも受けるようにしてください。

血糖降下剤を使った糖尿病の薬物療法

糖尿病の治療は合併症の原因となる高血糖状態を改善することが主な目的になります。このため糖尿病を発症するとまず行われるのが食事療法と運動療法です。つまり摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やすと言うわけです。早期に発見された場合は通常これだけで十分血糖値をコントロールすることが出来ます。しかし油断すると症状が進行してしまい高血糖をコントロールすることが難しくなっていきます。こうなってしまうと、もはや薬剤に頼るしか有りません。

薬剤も進行度によって段階がありますが最初の段階は経口の血糖降下剤を使う方法です。経口血糖降下剤には大きく分けて6種類があります。1つ目は膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促すSU薬、2つ目は肝臓での糖生成を抑止し、体にある糖の利用を促すBG薬、3つ目はでんぷんや糖分の吸収を遅らせ高血糖状態になることを回避するα-グルコシダーゼ阻害薬、4つ目はSU薬と同じくβ細胞に作用してインスリンの分泌を促す薬でさらに即効性がある速効型インスリン分泌促進薬。

5つ目はインスリンの分泌を促すインクレチンというホルモンの分泌を促すDPP-4阻害薬。最後の6つ目は肥満などによってインスリンに対する体の抵抗が強くなってインスリンが利きにくくなった状態を改善するインスリン抵抗性改善薬です。これらの薬を各患者の症状に応じて使うことになります。これらの6つの種類の薬には様々なものがありますので、自分の使っている薬がどういうものなのか一度説明を受けてみることをお勧めします。

ただし薬物療法を始めたからと言って、食事療法と運動療法を止めて良いということでは有りません。あくまで基本はこの2つであることを忘れてはいけません。薬物療法は一度始めてしまうと、一生行わなければならないと良く言われますが、食事療法と運動療法、薬物療法をしっかり行って、血糖値に改善が見られる場合には、薬物は止めて食事療法と運動療法だけに戻せることもあります。まずは根気良く治療を続けることが重要です。

薬物療法を始めなければならないと言うことは、それなりに糖尿病が進行していると言うことです。自覚症状が無くても様々な合併症を発症している可能性も有ります。したがって、自覚症状が無いからと言って、医師の指示する治療を疎かにすると、合併症は牙を剥き取り返しのつかない事態になりかねないと言う危機感を持たなければなりません。頑張り過ぎる必要は有りませんが、油断していると命取りになってしまいます。

糖尿病の基本治療である食事療法とは
糖尿病の基本治療である運動療法とは
インスリン注射を使った糖尿病の薬物療法