糖尿病

他の病気が糖尿病発症の引き金になる場合とは

病気に悩む人は年を取るごとに増加傾向を示しますが、これは加齢によって、有る意味仕方の無いことです。しかし共通して言えることは早期に発見して早期に治療すれば、ほとんどの病気は克服することが出来、健康に過ごすことができるということです。しかし中には兆候を無視してこじらせてしまう場合も少なく有りません。病気によっては、それがさらに糖尿病の引き金を引いてしまうような病気もあります。このような別の病気が原因で糖尿病の症状が出てしまうものを続発性糖尿病あるいは二次性糖尿病と呼んでいます。

このような病気には様々なものがありますが、例えば膵臓のランゲルハンス島にできる腫瘍で血糖値を一定に保つ作用を持つグルカゴンというホルモンを異常に分泌するようになるグルカゴン産生腫瘍や血糖値の上昇を促すホルモンである副腎皮質ホルモンの1つ糖質コルチコイドが何等かの原因で増加してしまうクッシング症候群、副腎髄質や傍神経節にできるカテコールアミンを放出し高血糖など様々な症状をもたらす褐色細胞腫などが有名です。

このほか糖尿病の症状を呈する病気としては原発性アルドステロン症、成長ホルモン産生腫瘍、肝硬変、慢性膵炎、ヘモクロマトーシス、膵癌、筋緊張性ジストロフィーなどがあります。これらはその病気が原因で、血糖値を上昇させたり、膵臓に影響してインスリンの分泌に支障が出たりして、糖尿病のような症状が出てくるものです。したがって、食事療法や運動療法は効かず、インスリンを注射したとしても、血糖値は下がるかも知れませんが根本的な解決にはなりません。

また病気ではありませんが、ある種の薬剤によって糖尿病の症状が出る場合も有り、これも続発性糖尿病に分類されています。たとえば膠原病などでステロイドを長期に渡って服用したような場合には肝臓やインスリン抵抗性などに影響が出てしまう場合があります。このような場合にはステロイドの量を調整する事によって症状は軽減されます。このような糖尿病を起こす可能性の有る薬剤にはサイアザイド系利尿薬、フェニトイン、糖質コルチコイドなどがありますので注意が必要です。

このほかにも膵臓にダメージを与えるような病気や薬剤には糖尿病と同様の症状を起こす可能性はありえます。もし糖尿病と診断された場合、治療中の病気や服用中の薬などをあわせて考える必要が有りますし、また気付いてはいなくても何らかの病気が潜んでいる可能性もあります。ですからずっと正常だった血糖値が突然高くなったような場合には医師と十分話し合って、少しでも疑いが有る場合は必要な検査を受けることが重要です。

HbA1cでなぜ過去の血糖値が分かるのか

糖尿病の診断では従来血糖値が使われていましたが、最近はHbA1c(ヘモグロビンA1c)と呼ばれるものも診断基準として利用されるようになりました。このHbA1cで過去1ヶ月から2ヶ月の血糖値を見ることが出来るからです。ことため現時点の血糖値が基準以内でもHbA1cの値によって実は高血糖に時期があるということが分かり、糖尿病患者である可能性が否定できなくなります。HbA1cを利用することで糖尿病患者を見逃さないように出来るというわけです。

血液中のヘモグロビンは血液中のブドウ糖と結合する性質があります。このブドウ糖と結合したヘモグロビンがHbA1cです。このヘモグロビンはブドウ糖が多ければ多いほど結合が進みますので、この濃度を測定すれば血糖値と同じようにブドウ糖の量が分かると言うことになります。つまりこの濃度が血糖値と関係するということです。そこに目をつけて糖尿病の指標として使うわけですが、日本では1999年から使われ始め2010年からは本格的に使われるようになりました。

このHbA1cの特徴は前記のように過去1ヶ月から2ヶ月の血糖値を反映していることですが、なぜ過去の状況が分かるのでしょうか。これにはヘモグロビンの性質が関係しています。ヘボグロビンにも寿命というものが有ります。概ね4ヶ月ぐらいですべて入れ替わるとされていますが、全部がいっせいに死んでしまうわけではなくだいたい半減するのが1ヶ月から2ヶ月とされているため、この時期以降の過去データが保存されているとして計算出来るのです。

HbA1cは現在では糖尿病の確定診断を行う際の重要な判断材料として利用されています。確定診断では血糖値との併用が行われますが、HbA1cが6.5%を超えた場合には要注意と言うことになります。ただし欧米での基準と従来日本で使われていた基準では0.4%の開きがあり、確定診断では欧米基準を使うことになっていますが、特定検診(いわゆるメタボ検診)では従来の日本基準を使うことになっています。なぜ統一しないのかはなはだ疑問です。

健康診断では様々な数値が並んでいますが、診断結果を貰っても、どの数値が何を示しているのかと言うことが分かるものは少ないのではないでしょうか。HbA1cもその1つで過去の血糖値を表していると言われても、今ひとつ分かり難いものです。医師の説明は大概は異常値を示したもののみで、しかも数値自体の意味する所を説明してくれるわけでも有りません。ですから、患者のほうも分からない所は、遠慮無く聞いてみるとか、自分で調べてみるとかが必要なのでは無いでしょうか。

糖尿病の主な検査にはどのようなものが有るのか
糖尿病はどのように確定診断が下されるのか

頻尿の人は糖尿病の疑いがあります

糖尿病は自覚症状がほとんど無いことが発見を遅らせると言われますが、まったく自覚症状が無いかというとそうでも有りません。最初は疲れやすくなることから始まって、喉の渇き、多飲・多尿、体重の減少などが出てきます。この程度の自覚症状の時点で、発見できれば重症になる前に血糖値のコントロールも可能でしょう。ここで多飲・多尿とはどういう状態なのでしょうか。膀胱の大きさは糖尿病になっても変わりませんから、多尿になると自然と頻尿になってきます。

よく年を取ると明け方などにトイレに起きる回数が増えて頻尿と呼ばれる状態になりますが、これは加齢が大きな原因です。しかし糖尿病の場合は多飲・多尿と言われるように、出るほうも多いですが飲むほうも多くなります。なぜかと言うと血液中の糖濃度が高くなるとそれを薄めるために水分を補給するように脳から指令が出ます。これが喉の渇きに現れて多飲の状態になります。しかし水分を必要以上に溜めておくことは出来ませんから外に出す必要が生じて多尿になり頻尿と言う現象が現れます。

しかし頻尿になるのはこれだけが原因では有りません。体内ではもう少し複雑な現象が起こっています。通常血液中の糖分はすべて処理されてしまいますので尿に糖が混じることは有りませんが、血糖値が一定を超えると処理できなくって尿中に糖が漏れ出てくるようになります。このためブドウ糖が糸球体で濾過されると、尿細管では再吸収されず、尿側の浸透圧が高くなってしまいます。そこで水の再吸収が減少してしまい多尿の状態になって頻尿が現れます。

これ等によって糖尿病になると頻尿になってきます。喉も渇きますので、糖尿病の発症を知らず、ジュースやコーラなどを頻繁に飲んでいる人がいますが、これによって糖分が補給され糖尿病を更に悪化させる方向に働きます。こういった場合は本来であれば、水あるいは白湯か、緑茶ぐらいにしておくことが重要です。喉を潤すだけならこれで十分です。もちろん糖尿病では無い人でも、糖分の取りすぎは良く有りませんので、飲み物を考え直してみてください。

このように頻尿は糖尿病特有とは言いませんが、1つのシグナルにはなりますので、糖尿病ではないかと言う疑いを持つ契機として利用しましょう。もし最近頻尿で悩んでいる場合は病院に行って医師に相談してみましょう。検査をすればすぐに糖尿病なのかどうか分かりますので、できるだけ早く行って、はっきりさせましょう。たとえ糖尿病であったとしても、適切な治療を行えば良いわけですし。糖尿病でなければ他の頻尿の原因を追究すれば良いのです。